貨幣の発行
前置きなんですが、日本の法律では
硬貨のみを「貨幣」と呼ぶそうです。
ただし、本記事では、
硬貨・紙幣・預金なども含めて「貨幣」と呼んでいます。
金貨・銀貨の発行
金貨や銀貨の発行は、直観的で分かりやすいと思います。
また、金貨や銀貨の発行には、
シニョリッジ(通貨発行益)が発生するのが特徴です。
金属ではなくて、紙で貨幣を発行したら莫大なシニョリッジが手に入るから、
紙で発行するようにしたんじゃないの?(*'-')
いえ。実は、
現代の紙幣のルーツは全く異なります。
借用証書の発行
『
国民経済を知ろう(信用創造)』でも書いたのですが、
現代の紙幣は、
借用証書が発達したものです。
当然、シニョリッジ(通貨発行益)は発生しません。
むしろ、
同額の負債を抱えることになります。
そして、この借用証書から
「返済期限」と
「金利」という
返済負担を取り除いたものが現代の紙幣です。
銀行のルーツ
以前も紹介した動画ですが、
銀行のルーツは、以下の動画で分かりやすく説明されています。
現代の貨幣
日本の現代の貨幣のルーツは、
金貨・銀貨なのか?それとも
借用証書なのか?
日銀の資金循環統計をみると、現金と日銀当座預金(日銀預け金)は
日銀の負債として、
みなさんの預金は
預金取扱機関(≒民間銀行)の負債として計上されています。
借用証書がルーツですね。
(クリックで拡大)
このことは、日銀の HP にも記載されています。
金本位制時代の経緯なども色々と書かれていますが、
要するに借用証書がルーツということです。
日本の硬貨
ちなみに、金貨・銀貨の名残がある唯一のものが
硬貨です。
硬貨の発行元は日本政府ですが、硬貨を発行する度にシニョリッジ(通貨発行益)が発生し、
日本政府の税外収入として一般会計に繰り入れられています。
ただ、硬貨も日銀に渡った時点で、日銀のバランスシートには負債として計上されるようです。
運用上は、ほぼ借用証書に近い扱いになっていますね。
今日のまとめ
- 金貨・銀貨と紙幣のルーツは大きく異なる。
- 現代の貨幣のルーツは、借用証書である。
- 貨幣を発行すると、会計上は、その発行主体の負債として計上される。
実は、
「貨幣とは金貨・銀貨をルーツに持つものである」という前提を
未だに引きずっている知識体系が存在します。
それが
経済学です。(正確には主流派経済学)
何が問題かというと、
- 政府の財源には限界がある!増税して確保しなければいけない!
- 政府の負債が増えている!歳出カットしないといけない!
という可笑しな論調が、まかり通ってしまうということです。
・・・いや、理論上は発行量に上限はないし!(※1)
政府の負債が増えたって返済負担はないんだし!(※2)
というか、単に貨幣発行しただけじゃん!(※3)
※1) インフレが制約になるので、事実上の上限はあります(※参考)
※2) 負債が自国通貨建てであること等、いくつか条件があります(日本は全て満たしています)
※3) 正確には「国債⇔日銀当座預金⇔現金」等のプロセスを経ます(※参考)
そして、最近になって、やっとその経済学にもメスが入り始めました。
・・・イングランド銀行設立から 300年。時間かかりましたな(*'-')
確かに!現代の貨幣は、金貨・銀貨とは全く異なるルーツを持っている!
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