大阪市の解体・再編
2015年の住民投票
復習も兼ねて、問題。
問題:2015年5月17日に行われた住民投票で、投票権を持っているのは誰?
答え:「
大阪市民」
大阪府民ではなく、
大阪市民のみです。今回の住民投票も同じです。
このときの住民投票は「大阪府を大阪都にすることの賛否」ではなく、
「大阪市を解体して、5つの特別区に再編する」ための
協定書議案への
賛否を問うものでした。
当時は、このことも知らずに騒いでる人も結構いました。
むしろ、内容を知らずに投票をした人も多いのでは・・・。
それを踏まえてか、今回の投票用紙には、そのことが明記されることになったようです。
大阪市が廃止されること。そして、大阪市が廃止されるとはどういうことなのか?
それを理解してから、議論や投票はしてほしいものですね。
政令指定都市
大阪市は
政令指定都市です。
政令指定都市とは、都道府県から
多くの権限を委譲された人口50万人以上の都市のことです。
序列で表すと、以下のようになります。
都道府県 ≒ 政令指定都市 > 中核市・特例市 > その他の市町村
問題:特別区は、上記の序列のどこに位置するでしょう?
答え:「
"その他の市町村" の下」
東京23区などの区長の権限は
村長未満です。
https://twitter.com/bukkakemisosiru/status/1302107110096863233
そもそも都区制度の始まりは、第二次大戦中に国が東京市の税収を戦費に当てるため、
東京市の権限を奪い、解体したのが発端です。
23区は、市町村であれば自分達で行える事業を行えず、
税金の一部も東京都に徴収されてしまいます。
都区制度が確立された昭和22年以降、
23区は自治権を取り戻すための戦いを延々と続けています。
また、23区は
地方交付税交付金を受け取ることができません。
なんで、そんな制度を今さら取り入れるんだろうか・・・?
東京都議会と大阪府議会
でも、東京都はその制度でずっとやってこれたんでしょ?
じゃあ大阪で、都区制度を取り入れても大丈夫なんじゃない?(*'-')
これには、各議会における議員の構成比率が問題になります。
東京都議会の議員のうち、およそ
7割が23区から選出された議員です。
それに対し、大阪府議会の議員のうち、大阪市から選出されている議員は
3割程度です。
|
議員定数 |
23区 or 大阪市
選出の議員数 |
23区 or 大阪市
選出の議員数の割合 |
東京都議会議員 |
127人 |
87人 |
68.5% |
大阪府議会議員 |
88人 |
27人 |
30.7% |
(いずれも、2020年9月13日現在)
議会制民主主義は、最終的には
多数決です。
東京23区は権限が無くとも、数の力でなんとか凌いでいるわけです。
でも、大阪市を解体し、特別区に再編した場合、この手は使えません。
大阪府に吸い上げられた税金が
大阪市内に戻ってくる可能性は低い、
と考えた方がよいでしょう。
今日の駄文
今日は基礎編なので、この辺で終わり。( -_-)
ちなみに、大阪都構想の始まりは、2011年の
大阪府知事・大阪市長のダブル選挙です。
2011年6月30日の読売オンラインの記事によると、橋下府知事(当時)は、こう述べています。
「大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る」
「権力を全部引きはがして新しい権力機構を作る。これが都構想の意義だ」
当時、大阪市と喧嘩していた橋下府知事からすれば、
政令指定都市である大阪市を解体して特別区に再編することは、
むしろ理に適っているわけですね。
そんな喧嘩に巻き込まれる市民は、たまったものではないでしょうけどね。
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