誤解1:お役所仕事はダメな仕事の仕方
お役所仕事とは、手続きを守ることが重視され、柔軟な対応が為されない仕事の仕方を指し、
「ダメな仕事の仕方」の代名詞とされることが多いです。
確かに、迅速性や柔軟性が重視される民間企業の現場で、
お役所仕事をされると非常に困ります。
ただ、役所というのは
「お役所仕事をするのが仕事」なのです。
むしろ市民一人の意見で役所が動いてしまうと、逆に問題になります。
役所を動かしている機関
役所にいくら訴えても、動いてくれない。こんなの民営化すべきだ!(゚д゚ )
・・・いや、行く場所を間違えてますよ( -_-)
市民にとって、役所はあくまで
手続きをしに行く場所です。
ちゃんと役所を動かしている機関に訴えるべきです。
では、もし役所に動いて欲しい場合、どこに行くべきなのでしょうか?
役所を動かしているのは議会です。
中学生のときに、日本は
議会制民主主義だって習いましたよね?
役所に行ってしまった時点で、義務教育の内容を理解していなかったと反省しましょう。
義務教育を終えてない人が、社会を動かせるはずはありません。
行くべき場所は、
議員事務所です。
なるべく、複数人や署名を集めていくとよいでしょう。
そのために、我々には
選挙権と
請願権があるわけですから。
議会制民主主義と株式会社
民営化とは、すなわち
株式会社化のことです。
公的サービスを民営化した場合、市民はその決定プロセスから弾き出されることになります。
民間サービスであれば、不買運動によって影響を与えることができますが、
公的サービスのほとんどは
不買が難しいサービスであるため、
市民側が不利なのです。
誤解2:民主主義は多数決である
確かに、最終的には多数決で意思決定をします。
しかし、
「民主主義 = 多数決」であるとするなら、そもそも議会は不要となります。
代議制と多数決
議員は、市民に代わって
議論をする代表として選出されます。
ただ議論をしたところで「全員が納得する結論」なんて出てきません。
そろそろ、多数が納得する結論が出たんじゃないか?
・・・というところまで議論できたか否かを確かめるために、多数決を取るというだけです。
民主主義の本質は、多数決ではなく
「熟議」なわけです。
直接民主制
「民主主義 = 多数決」と誤解している人が、良く支持するのが
直接民主制です。
住民投票ですべてを決してしまおうとする方法です。
前述したように、市民全員で議論など不可能です。
・・・すると、どうなるか?
単なる
宣伝合戦になります。
極端な話、マスコミを抑えた方が勝つわけです。
この手法を多用した政党としては、
国家社会主義ドイツ労働者党があります。
通称
ナチスですね。
これだけで、かなり危険な方法であることが伝わると思いますが、
実は、近年の日本でも直接民主制は多用されています。
通称「大阪都構想」の住民投票に反対する学者が多かったのは、この辺の理由もあるわけです。
誤解3:市民の声を迅速に反映させる仕組み
え!?これって、誤解なの?Σ(゚д゚ )
・・・まぁ、完全な間違いではないのですが
「民主主義 = 市民が自由に行政を動かせる制度」
とすると、これは誤解が生じます。
前述のように、市民一人の声によって行政が動いてしまってはマズイわけです。
民主主義を「多くの人が納得する結論を出すための仕組み」とするなら、
逆に
「特定の誰かのみ利する意見を排除するための仕組み」とも言えるわけです。
政商や権力者が
市民から搾取する構造を是正するために発展したのが民主主義なわけです。
よくマスコミが
「首長のリーダーシップにより迅速に意思決定された」というニュースを
称賛するかのように流すことがありますが、疑った方がよいです。
もしかしたら
民主主義が健全に機能していない可能性があるからです。
マスコミが特に取り上げない自治体の方が、しっかり仕事をしていたなんてよくある話です。
今日のまとめ
- 日本は議会制民主主義であり、市民が議員を選出する代議制である。
- 民主主義の本質は熟議であり、熟議の後に多数決で決する。
- 民主主義の機能的役割は、特定の誰かのみを利する意見を排除することにある。
世界的な経済危機や、今回の様なパンデミックが起きたときには、
民主主義諸国の方が動きが遅く、
独裁国家の方が動きが早いという特徴はあります。
けれど、事前に
仕組みを整えておき、現場に適切に
権限を委譲しておけば、
迅速に対応することは可能です。
それは、3.11のときに体験済みですね。
もし、議会に請願をするときは、仕組みや権限移譲について
具体的に話し合ってみるとよいでしょう。
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