リスクマネジメントとリスク対応
リスク対応とは、リスクマネジメントにおける活動のひとつです。
分析・評価したリスクに対して、実際にどのように対応するのか?を指す概念です。
リスクアセスメント
今回は、誰でも感覚的に分かりやすい「料理」を例にしてみます。
「料理をするとき、包丁で指を怪我する可能性がある」というリスクを認識します。
※本来は、この後にリスクの分析・評価を行うのですが、今回は割愛。
リスク対応
このリスクに対しては、主に 5つの対応方法があります。
リスク回避 |
リスクを生じさせる要因そのものを取り除きます。
今回の場合は「そもそも料理をしない」という対応になります。 |
リスク軽減
(リスク低減) |
リスクの発生確率、またはリスクが顕在化したときの影響を小さくします。
今回の場合は「指サックをして料理をする」などの対応になります。 |
リスク分散 |
リスクの要因が分解可能であれば、一部を外部に移転させます。
今回の場合は「複数人で料理をする」という対応になります。 |
リスク転嫁
|
リスクの要因を全て外部に移転させます。
今回の場合は「他の人に料理をしてもらう」という対応になります。 |
リスク保有
(リスク受容) |
リスクを受け入れます。
今回の場合は「気を付けて料理をする」という対応になります。 |
※「リスク分散」と「リスク転嫁」をまとめて「リスク移転(リスク共有)」とする場合もあります。
最後に選択すべきリスク対応
ここで質問です。
先の 5つのリスク対応で、
「料理が食べられない」対応方法はどれでしょう?
当然のことながら
「リスク回避」です。
このリスク回避だけ、
仲間はずれの対応方法なのです。
実は、リスク回避は
「他のリスク対応が選択できない場合に採用する最後の手段」です。
「リスク保有」が最後の手段と思っている人が多いのですが、
上記の例の通り、ほとんどの人が普段は「リスク保有」を選択していると思います。
リスク回避は、
選択した場合に失うものが大きいため、
「リスクの確率が極めて高く、かつ影響が甚大なとき」にのみ選択します。
リスク保有と無計画なリスク対応
ここで注意が必要なのは、「リスク保有」を選択している人は
決して
「リスクに無頓着な人」ではないということです。
一見、同じように見えますが、
リスクが顕在化したときに、その違いが現れます。
リスク保有の場合は、もしリスクが顕在化しても冷静に対応できます。
必要であれば、リスク対応を更新すればよいだけです。
ただし、無計画だった場合は、こうはいきません。
想定外の事態にパニックを起こします。
無計画なリスク対応のその後
リスクに対して無計画だった場合に、もしリスクが顕在化してしまったら。
その後は、悪いことが 2つ起きます。
無条件のリスク回避
ひとつ目は、無条件にリスク回避に走ってしまうことです。
前述のように、リスク回避は損失が大きいため、
不要な損失を生んでしまう可能性があります。
また、リスクに遭遇しなくなるため、リスクに関するノウハウも溜めることができません。
結果的に、
リスクに対して脆弱になるというデメリットもあります。
他のリスクに対する盲目
ふたつ目は、顕在化したリスクへの対処に集中してしまうことです。
一見、良いことの様に思えますが、これは一種のパニックです。
何か問題に対処するときに、
勝手に
他のリスクの発生確率を0%にしてはいけません!
リスク対応に慣れている人ほど、
二次災害に注意しながら対応に当たります。
今日のまとめ
- リスク回避は損失も大きく、他のリスク対応が選択できない場合に採用する。
- リスク保有と無計画なリスク対応は、まったく異なる。
- 無計画なリスク対応はパニックを誘発し、その後の更なる損失を生む。
リスクマネジメントは、
企業経営や
プロジェクト運営でよく用いられます。
無計画な会社では、想定外の問題に直面してマネージャたちがパニックになり、
チャレンジをしなくなったり、対応を間違えて
更なる問題を生んだりします。
ただし、これは社会全体にも当てはまる話です。
地震に対して冷静な対応ができる日本人が、
コロナには上手く対処できず、これだけ経済被害を出してしまっているのは、
それだけ
「自分が病気になる」と考えてない人が多かった、ということなのでしょう。
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