実質成長率と名目成長率
まず、
GDP とは国内の所得の合計のことです。
そして、
GDP の成長のことを経済成長と呼びます。
『
国民経済を知ろう(GDPと所得創出)』の記事でも少し触れたのですが、
GDP や経済成長率には、名目値と実質値があります。
名目値:物価上昇分を含んでいる
実質値:物価上昇分を省いている
まぁ、実際には車しか生産していない国なんてないので、
最終的な統計データの算出は、様々な生産品の生産額を加重平均することになります。
その辺の具体的な計算方法は、本記事の主題ではないので、
経済成長には
「生産性向上」と
「物価の上昇(=インフレ)」が必要である、
ということさえ分かればよいです。
インフレーション(インフレ)
インフレというと
物価が上昇すると消費者に害悪じゃないか!(゚д゚ )
という印象があるかもしれませんが、これはちょっと違います。
インフレとは
「継続的に物価が上昇する状態」のことを指します。
つまり、以下のような状態のことです。
そして、結果的に物価が上昇するはずなので、統計的に物価で判断しているということです。
この図から分かる通り、つまり
豊富な需要が経済成長には必要ということです。
そして、需要が豊富なときは、インフレになるということです。
需要
では需要とは何か?
これは、統計上は
「消費と投資」のことになります。
要するに「お金が使われること」です。
もっと正確に言えば
「所得を生み出すようにお金が使われること」です。
ちなみに
投機は「所得を生み出さないお金の使い方」なので含まれません。
(参考:『
所得(=GDP)を生まない経済活動』)
健全なインフレと悪性のインフレ
経済成長する環境というのは、需要が豊富にある状態であり、
裏を返せば
「ほどよい供給不足の状態」となります。
しかし、需要と供給に差が開きすぎると、
悪性のインフレになってしまいます。
賃金上昇が追い付かない程のインフレのことです。
つまり、健全なインフレというのは、一方的な価格の釣り上げのことではなく
「物価が上がっても、国民に買えるだけの余裕がある状態」というわけです。
この状態なら「価格を上げても売れる」ため、企業の売上も伸びます
デフレ
ちなみに、デフレの本当の怖さは、この
実質賃金の下落にあります。
物価が下がるのは、消費者にとっていい事じゃないか(^^)
なんて言ってられないわけです。
なんせ、これですから ↓
日本の実質賃金の推移(2015年=100)
物価の下落以上に賃金が下落していく、という状況が延々と続いています。。。
経済成長のサイクル
でも、賃金が上昇し続けたら、需要が膨らみ過ぎて
やがて悪性のインフレに突入するのでは?(*'-')
その通りなので、悪性のインフレを回避するためには、
供給能力の引き上げ(生産性向上)も同時に行う必要があります。
つまり、名目的な経済成長だけでなく、
実質的な経済成長も必要ということになります。
肝になるのが
投資です。
経済成長とは、
豊富な需要 ⇒ 投資による生産性向上 ⇒ 需要の増加 ⇒ 投資による・・・
というサイクルによって生まれます。
これにより、悪性のインフレを抑えつつ、経済成長を継続できます。
高度成長期の日本は、これが上手く回っていたわけです。
そして、デフレではこのサイクルは生まれないため、
経済成長はできません。
デフレと政府支出
デフレや低成長のときには、誰かが半ば強制的に需要(消費 or 投資)を増やしてくれないと
経済成長のサイクルには戻れません。
家計:デフレ下では所得が減ってるし・・・
企業:デフレ下では儲からないから・・・
政府:通貨発行権があるからデフレでも関係がないよ!(゚∀゚)
というわけで政府が支出を増やせばよいだけですね。
政府支出を抑制し続けた、日本はこのザマです。。。( ´_ゝ`)
今日のまとめ
- インフレとは需要が豊富にある経済の状態。
- 需要とは消費と投資のこと。
- 悪性のインフレを防ぐ鍵は投資による生産性向上。
- デフレから抜け出すには政府による需要創出が必要。
ちなみに、
主流派経済学では
「セイの法則」という前提があります。
これは「供給は需要を生み出す」というもので、
法則と名がついていますが、単なる仮説・・・というか机上の空論です。
セイの法則をもとにすると、売れ残りというものは
存在しなくなります。
なので主流派経済学では「政府が支出を増やして経済成長させる」という
発想がありません。
日本政府は、この経済学の教科書を経典の様に守っているわけです。
現実の世界は違うんですけどね。。。
次回に続く・・・
⇒(次回)
国民経済を知ろう(インフレ率の指標)
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