GDP(国内総生産)と三面等価の原則
他の記事で、「GDP は所得の合計です」とサラッと書いてしまった記憶があるのですが、
それは、GDP が以下のプロセスで創出されているからです。
①誰かが働いて、モノやサービスを生産する。
②誰かが、消費や投資として支出する。
③生産者に所得が生まれる。
このとき、「生産された付加価値の額」「支出された額」「所得の額」は同じ額になります。
10000円のモノ・サービスを生産して、それを 10000円で買ってもらったら、
あなたの所得はいくら?
答え:10000円
これが
三面等価の原則です。簡単ですね。
内閣府の統計データでも「生産面」「支出面」「所得(分配)面」の
3つのデータが掲載されています。
所得創出と経済循環
「①労働 (生産活動) ⇒ ②消費・投資 ⇒ ③所得創出」という流れが分かったと思いますが、
ここで肝になるのは、
- 誰かが「消費・投資」をすると所得が生まれる
- 創出された所得が、次の「消費・投資」を生む
という循環がある、というところです。
「消費・投資が増える ⇒ 所得が増える ⇒ 消費・投資が増える ⇒ 所得が・・・」
という循環が発生している状態が、まさに経済成長している状態です。
所得(=GDP)を生まない経済活動
例えば、
株や国債の売買、
土地の転売を行っても、
所得(income)は生まれません。
これらは生産物ではないので。
生まれるのは、
値上り益(capital gain)です。
値上り益のための支出は、
投資(investment)ではなく
投機(speculation)と言います。
※そういう意味では「株式投資」「不動産投資」という言葉の最近の使われ方は、誤用だと思います。
政府が、やたら株価上昇を取り上げて「アベノミクスは成功(^^)」なんて言ってますが、
株の売買がいくら行われても、それだけで GDP は増えないのです。
所得(=GDP)を生まない経済活動 その2
そして、もうひとつ。
預金や
負債返済も所得を生みません。
「政府の負債(=国債残高)を減らせ!」と声高に言う人がいるのですが、
経済を縮小させるだけなんですよね。
そもそも、日銀が買い取れば返済負担はなくなるわけだし。
⇒ 参考:
返済負担のない負債
経済成長
そして、
「GDP の成長 = 経済成長」です。
しかし、GDP には、
名目GDP と
実質GDP の2つがあります。
- 名目GDP:物価上昇分を含んでいる
- 実質GDP:物価上昇分を省いている
簡単に言えば、「額で見ている = 名目」「量で見ている = 実質」です。
デフレ期の経済成長
ここで気を付けなければいけないことがあります。
統計上、計測できるのは
「名目GDP」と
「物価」のみです。
実質GDPは、計算で出しているだけです。
実質GDP = 名目GDP × ( 100 / GDPデフレーター )
※GDPデフレーター:物価上昇率を表す指標のひとつ
すると、おかしなことが起きます。
デフレ不況のときは、物価が下落します。(というか、それがデフレ)
GDPデフレーターが小さくなるため、
実質GDPが大きく算出されてしまうのです。
新聞やテレビのニュースで、GDP の情報が流れたときは、要注意です。
(都合のいい方の数字しか出していないことがあります。)
今日のまとめ
- GDP とは「生産の合計 = 支出の合計 = 所得の合計」。
- GDP には「量=実質GDP」「金額=名目GDP」の2つがある。
- GDP の成長が経済成長。
- 支出増加 ⇒ 所得増加 ⇒ 支出増加・・・のサイクルが経済を成長させる。
- 投機、預金、負債返済は、GDP を生んでいない。
基礎の基礎の基礎なんですが、
これさえ理解していない政治家って、どれくらいいるんだろうか(*'-')
多分、かなり多いはず。
でなければ
「政府の負債返済!」とか
「政府の支出削減!」とか、言い出さないはずだしね。
それから、
法人税減税も、企業の投資を減らしてしまうので、
(内部留保や配当金を増やしてしまうので)これもダメなんですよね。
そして、消費を抑制する
消費増税なんてもってのほか、なわけです。
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