「ビジョン」も「バズワード」も曖昧な言葉ですが・・・
この記事では、
ビジョンを以下の定義に限定して使用します。
組織のメンバーに指針を示したり、行動を促したりする意味のある短い言い回し
そして、「それとは逆の意味のない言い回し」を
バズワードとします。
つまり今日は、
意味のある行動指針を無力化してしてまうマネージャの話です。´´(;-_-A
「曖昧な言い回し」と「具体的な説明」
組織や、大規模な開発プロジェクトでは、
ビジョンが掲げられることがあります。
それは、社訓や標語という形かもしれませんし、キャッチコピー風のフレーズかもしれません。
しかし、ビジョンは
「大勢の共通認識」という特性があるため、
その言い回しは、曖昧にならざるを得ません。
ある開発プロジェクトでの話
ある開発プロジェクトで、
「プロ意識」という言葉が、
ビジョンとして掲げられたことがありました。
・・・これだけでは「何のことやら」ですね( -_-)
しかし、このビジョンには、
具体的な説明が付帯されていました。
この開発における「プロ意識」とは、
情報統制のことだったのです。
大規模な開発における問題のひとつに
「開発者に、どこまで機密情報の開示を行うか?」
というものがあります。
当然、この開発プロジェクトでも問題になったのですが、
当時の社長の意向により
「開発者には、なるべく情報を開示する」という方針が取られました。
そして、「プロ意識」というビジョンは、以下の具体的な説明とともに共有されました。
- 情報を開示する意義
- 開発者に求められる情報管理への意識
ビジョンの共有
ビジョンとは、この
共通認識(具体的な説明)の方が本体です。
しかし普通は、それを代替する
「短い言い回し」も用意します。
そうすることによって、普段の会話で、その言い回しが
繰り返し使われるようになり、
ビジョンは、
より広く、より強固に、共有されることになるのです。
「曖昧な言い回し」の欠点
ビジョン(曖昧な言い回し)には欠点があります。
伝える側が、その中身(具体的な説明)を疎かにして使ってしまったり、
意味を歪曲して使ってしまった場合です。
その時点で、
ビジョンの効力は失われます。
ある開発プロジェクトでの話 その後
大規模プロジェクトでは、
「全員が知っていなければいけない情報」を
全員に伝えるのは非常に大変です(^^;
前回の記事で、定例ミーティングのことを書きましたが、
定例ミーティングは、上手く運用すれば、
情報の周知徹底には有効なツールです。
・・・しかし、その開発プロジェクトで
「定例ミーティング不要論」が出てきてしまったのです。
- 定例ミーティングの内容に既知の情報があるので時間の無駄
- 情報は開発者が各々「ポータルサイト」を見て確認すればよい
という理由でした。
情報は「言葉」と「行動」で伝える
「
言葉は軽く、行動は重い」の記事で書いたように、
行動は強いメッセージになります。
定例ミーティングによる情報伝達を止めた場合、以下のようなメッセージになります。
- (繰り返し伝えないので)重要な情報が「重要ではない」と伝わってしまう
- (リーダーたちに)情報の周知徹底は重要な仕事ではないと伝わってしまう
情報の周知徹底の肝は、
重要な情報は繰り返し伝えること。
そして、もうひとつ。
情報の受け手よりも、
情報を発信する側の責任の方が重い、
という意識を持つことです。
開発プロジェクトにおける
コミュニケーション・マネジメントの本質は、実はここにあります。
「定例ミーティングの中止」は、この両方を潰してしまうため、マズイと私は感じたわけです。
マネージャの判断は・・・?
さて、その開発プロジェクトのマネージャは、
定例ミーティングを継続したのか?止めたのか?
答えはどちらでもなく、斜め上のものでした。
マネージャ「どっちの考え方も『プロ意識』です(^^)」
・・・こいつ、逃げやがったな( -_-)
要するに判断を避けたわけです。
しかも最悪なことに、その「逃げ」にビジョンを利用してしまったのです。
これによって、「プロ意識」というビジョンは死にました。
どんな状況でも使える
バズワードと化してしまったのです。
コミュニケーション・マネジメントさえ理解していないマネージャには、
ビジョンの使い方なんて、難し過ぎたようです・・・。
(特に大企業では)中間管理職が組織をダメにするケースの方が多かったりします。
確かに、どんなに優れたビジョンのもとでも結果を出せないマネージャっているな・・・。
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