以前、古い知り合いと話していたとき、
「会社がなかなか設備投資をしてくれないんだよね」という話をしたら
あぁ、なんか日本の会社っぽいね。
と言われたことがありました。
本当に、日本人って
「設備に頼らず根性(人力)で働く」のが好きなのか?
私は、この手の安直なカテゴライズは単なる思考停止だと思っているので、調べてみました。
日本の投資額の推移
前回の記事でも、取り上げましたが、投資額は
GDP統計を見れば載っています。
今回は、もう少し古いデータまで遡って再集計。
※1980~1994年度:内閣府(GDP統計)平成23年基準支出側GDP系列簡易遡及 より
※1995~2017年度:内閣府(GDP統計)2017年度国民経済計算 より
GDP の推移と共に見ると
「投資 = 経済成長」と言っても過言ではないくらい相関があります。
そして、1992年の
バブル崩壊、1997年の
橋本緊縮財政により
日本はデフレ化。
投資額は、民間&公的ともに削られ、GDP は伸びなくなりました。
消費と投資
1995年(平成17年)辺りから、投資額と GDP に差が開き始めています。
逆に言えば、投資の減衰分を「何か」で補っていたわけです。
GDP とは
所得の合計ですが、
支出の合計でもあります(
三面等価の原則)
そして、その支出には
「投資」以外に、
「消費」があります。
さて、デフレ化した日本で増えた「消費」とは何か?
社会保障費(医療・福祉等)しかありませんね。
高齢者の消費が日本経済を下支えしてくれていたわけです。
誰ですか?未だに「シルバーデモクラシー」とか言ってる人は?
参考:
「社会保障費が日本経済を圧迫した」はウソだった
各国のGDPに占める投資額の割合
さて、日本は他の国に比べて
「投資をしない(根性で働く)」国なのか?
※United Naitions「National Accounts Main Aggregates Database」より
そんなことはありませんでした。
むしろ、経済成長していた時期は、
他の国よりも盛んに投資をしていました。
※日本は自然災害が多いので、公共投資の比率が他の国より高いという事情もあります。
近年の中国は成長するはずですね。
ただ、人口の割に消費が少ない(貧困層が多い)という事情もあるので、
投資額の比率が高ければよい、というわけでもありません。
高度成長期の日本
そもそも日本の
高度成長期は、機械化・自働化を盛んに進めた時代です。
そのおかげで、
GDP は実質的に増えていったわけです。
要するに、一人当たりでこなせる仕事が増えた。
逆の言い方をすれば、
同じ仕事を楽にこなせるように環境を整えたわけです。
高度成長期の生産年齢人口・実質GDP成長率(単位:%)
未だに
「日本の高度成長は人口増加によるもの」という説を唱えてる人がいますが、
データをみれば、相関がないことは一発で分かるだろ(*'-')
今日のまとめ
- 日本の投資が減り始めたのは、バブル崩壊以降。
- それまでは、日本は他国に比べて投資の盛んな国だった。
そもそも論として、欧米各国は随分前から
移民受け入れをしていました。
むしろ欧米の方が「人力で頑張る」方式を取っていたわけです。
日本は、国際的事情により移民を受け入れることができなかった(※)
という環境要因によるものですが、
投資で穴埋めをしたわけです。
※当時、日本の周辺には民主化された国がなかった。
日本人は、もともと機械化・自働化が好き(=投資が好き)と言えるのではないでしょうか。
むしろ昨今の根性論は、
株主資本主義の台頭による人件費の圧縮の余波ですね。
参考:
労働分配率と西日本豪雨災害
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