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東からの放浪者

様々なソフトウェア開発を経験してきた視点から、開発、マネジメント、経済などについて書いています。
タイトルは、あるレトロゲームからのオマージュ。

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「社会保障費が日本経済を圧迫した」はウソだった

実体経済とは、

「誰かが生産する → 他の誰かがお金を払う → 生産者に所得が生まる」

というプロセスの循環で成り立っています。

そして「国内の所得の合計」が GDP(国内総生産)です。
そして「GDP の成長」が経済成長(※)です。
つまり、誰かがお金を使わないと、経済は成長しません。

※正確には物価上昇分を除いた実質GDP の成長を指します。

当たり前のことなんですが、みんな忘れている。
特にサービス業(物品ではない「用役」の生産)においては、それが顕著。

国民経済の循環

国民経済を知ろう(経済循環)」の記事で書いたのですが、おさらい。

国民経済において、お金は使ってもなくなりません。
所有者を変えながら循環しているだけです。

消費と所得

そして、所有者がお金を使う度に所得が生まれます。
誰もお金を使わなくなると、所得が生まれなくなります。つまり、経済成長しなくなります。

国民経済における大きな循環

個人・民間企業の間だけでなく、中央政府金融機関(民間銀行)との間でも、
お金は回っています。

経済循環(政府と銀行と国民経済)

そして上図において、「政府支出 < 税金」かつ「融資 < 預金・返済」の状態になると
ほぼ間違いなくデフレになります。

経済循環(デフレの発生)

まぁ、当たり前ですね。
経済活動(生産と消費)に使われるお金が減るわけですから。

デフレ国のGDP

デフレとは、経済活動に使われるお金が少なくなり、
結果的に物価が継続的に下落していく現象です。
(単純に「値段が下がって嬉しい」とはならないわけです。)

そんな国の GDP が増えるはずはありません。

自分でグラフを作ろうと思ったのですが、
(少し古いですが)転載可能なグラフがあったので拝借。( -_-)ヾ

日本の名目GDPの推移(単位:十億円)
新世紀のビッグブラザーへ:日本の名目GDPの推移(単位:十億円)


1991年のバブル崩壊により GDP の伸びが鈍化。
そして、1997年の橋本緊縮財政により、日本はデフレに突っ込みました。
それ以来、GDP は伸びていませんね。当たり前ですが。


・・・でも、待ってくれよ。
銀行からの貸出も減り、政府支出も減るなら、GDPってもっと縮小していくんじゃないの?

はい、実はその通りです。

ギリシャの GDP

2008年のリーマンショックを境に、世界がデフレ化を始めました。
特に酷かった国がギリシャです。

ギリシャの名目GDPの推移(十億ユーロ)
新世紀のビッグブラザーへ:ギリシャの名目GDPの推移(十億ユーロ)


EU は緊縮至上主義なので(というか経済学がそうなんですが・・・)
ギリシャは EU からの要請に従い「政府支出削減」「負債の返済」などを行いました。

要するに「政府の黒字化」を目指したわけです。
・・・それって「国民の赤字化」と同義なんだけどな( -_-)

そして、ギリシャ政府は黒字化を達成しました。
そして、GDP を 5年で 30% 縮小させ、財政破綻しました。

何やってんだよ(*'-')


しかし、ギリシャの GDP 縮小ペースは、決して稀有な例ではありません。
デフレとはそういうものです。

歴史上、有名なデフレ不況に、1929年から始まった世界恐慌があります。
このときのアメリカも GDP を 4年で 30% 縮小させました。

日本政府の支出

1997年(平成9年)以降、日本政府は特に公共投資を削りました。

日本の公的固定資本形成と対GDP比率
新世紀のビッグブラザーへ:日本の公的固定資本形成と対GDP比率


・・・すさまじい減らし方だ。災害に対応できなくなるわけです。
ただ、政府の歳出総額(下図のピンクの線)は減っていません。

内閣府:社会保障給付費の推移等:一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移
(引用:内閣府「社会保障給付費の推移等」より)


日本の人口構造上、どうしても削れない政府支出があったわけです。
社会保障費(年金、医療、介護、福祉など)です。

内閣府:社会保障給付費の推移等:社会保障給付費の推移
(引用:内閣府「社会保障給付費の推移等」より)


理由は、高齢化しかないですね。
この支出分がなかったら、日本の GDP はギリシャのようになっていた可能性があります。

日本は世界で最も高齢化の進んでいる国と言われています。
そして、デフレ下においては、それが幸いしたわけですね。

日本経済は、高齢化による社会保障費の増加により下支えされていた。

これが事実。

今日のまとめ

  • 国民経済においては「誰かの支出は、誰かの所得」
  • 日本は、1997年以降の緊縮財政(政府の支出削減)によりデフレ不況になっている
  • 高齢化の進んでいる日本では、社会保障費が増加していたため、
    GDP が縮小せずに済んでいた

冷静に考えれば当たり前のことなんですが、
テレビや新聞は「社会保障費の増加」を問題視するだけの薄い情報しか流さないので、
みんな考える力を失くしてしまっているだけですね。

すると、こういうおかしなことを言う人が現れても、何も感じなくなってしまうわけです。

増税の代わりに社会保障費削減断行で「シルバー民主主義」に切り込め
https://diamond.jp/articles/-/92233

政府支出削ったら、税金の源泉である GDP が減りますよ(*'-')
こんな理解力で大学教授は務まるようです。

そして、そんな国民が選んだ政治家や官僚たちも、おかしな議論に精を出します。

社会保障費抑制 道半ば 来年度予算、1800億円削減へ
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO2188820004102017EE8000/

医療や介護現場のブラック化が進みますな。
代わりに得られるものは、日本経済の沈没ってわけです。

いい加減、根本的な間違いに気付け(*'-')
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コメント

プロフィール

HN:
なかば
性別:
男性
職業:
元ソフトウェアエンジニア
自己紹介:
東京のゲーム会社でゲームプログラマ。
家電メーカーで組み込みエンジニア。
その後、京都に移動して観光を楽しみながら
製品開発、業務改善、QA管理などを経験。
今は東京に戻って暮らしています。

詳細な自己紹介は、こちら

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