国民経済の循環
「
国民経済を知ろう(経済循環)」の記事で書いたのですが、おさらい。
国民経済において、お金は使ってもなくなりません。
所有者を変えながら循環しているだけです。
そして、所有者がお金を使う度に所得が生まれます。
誰もお金を使わなくなると、所得が生まれなくなります。つまり、経済成長しなくなります。
国民経済における大きな循環
個人・民間企業の間だけでなく、
中央政府や
金融機関(民間銀行)との間でも、
お金は回っています。
そして上図において、
「政府支出 < 税金」かつ
「融資 < 預金・返済」の状態になると
ほぼ間違いなくデフレになります。
まぁ、当たり前ですね。
経済活動(生産と消費)に使われるお金が減るわけですから。
デフレ国のGDP
デフレとは、経済活動に使われるお金が少なくなり、
結果的に物価が継続的に下落していく現象です。
(単純に「値段が下がって嬉しい」とはならないわけです。)
そんな国の GDP が増えるはずはありません。
自分でグラフを作ろうと思ったのですが、
(少し古いですが)転載可能なグラフがあったので拝借。( -_-)ヾ
日本の名目GDPの推移(単位:十億円)
1991年のバブル崩壊により GDP の伸びが鈍化。
そして、
1997年の橋本緊縮財政により、日本はデフレに突っ込みました。
それ以来、GDP は伸びていませんね。当たり前ですが。
・・・でも、待ってくれよ。
銀行からの貸出も減り、政府支出も減るなら、GDPってもっと縮小していくんじゃないの?
はい、実はその通りです。
ギリシャの GDP
2008年のリーマンショックを境に、世界がデフレ化を始めました。
特に酷かった国がギリシャです。
ギリシャの名目GDPの推移(十億ユーロ)
EU は緊縮至上主義なので(というか経済学がそうなんですが・・・)
ギリシャは EU からの要請に従い
「政府支出削減」「負債の返済」などを行いました。
要するに
「政府の黒字化」を目指したわけです。
・・・それって
「国民の赤字化」と同義なんだけどな( -_-)
そして、ギリシャ政府は黒字化を達成しました。
そして、GDP を
5年で 30% 縮小させ、
財政破綻しました。
何やってんだよ(*'-')
しかし、ギリシャの GDP 縮小ペースは、決して稀有な例ではありません。
デフレとはそういうものです。
歴史上、有名なデフレ不況に、1929年から始まった
世界恐慌があります。
このときのアメリカも GDP を
4年で 30% 縮小させました。
日本政府の支出
1997年(平成9年)以降、日本政府は特に
公共投資を削りました。
日本の公的固定資本形成と対GDP比率
・・・すさまじい減らし方だ。災害に対応できなくなるわけです。
ただ、政府の歳出総額(下図のピンクの線)は減っていません。
日本の人口構造上、どうしても削れない政府支出があったわけです。
社会保障費(年金、医療、介護、福祉など)です。
理由は、
高齢化しかないですね。
この支出分がなかったら、日本の GDP はギリシャのようになっていた可能性があります。
日本は世界で最も高齢化の進んでいる国と言われています。
そして、デフレ下においては、それが幸いしたわけですね。
日本経済は、高齢化による社会保障費の増加により下支えされていた。
これが事実。
今日のまとめ
- 国民経済においては「誰かの支出は、誰かの所得」。
- 日本は、1997年以降の緊縮財政(政府の支出削減)によりデフレ不況になっている。
- 高齢化の進んでいる日本では、社会保障費が増加していたため、
GDP が縮小せずに済んでいた。
冷静に考えれば当たり前のことなんですが、
テレビや新聞は「社会保障費の増加」を問題視するだけの薄い情報しか流さないので、
みんな考える力を失くしてしまっているだけですね。
すると、こういうおかしなことを言う人が現れても、何も感じなくなってしまうわけです。
政府支出削ったら、税金の源泉である GDP が減りますよ(*'-')
こんな理解力で大学教授は務まるようです。
そして、そんな国民が選んだ政治家や官僚たちも、おかしな議論に精を出します。
医療や介護現場のブラック化が進みますな。
代わりに得られるものは、日本経済の沈没ってわけです。
いい加減、根本的な間違いに気付け(*'-')
確かに、社会保障費の削減はGDPの縮小を招くだけだ!と思われた方はバナーをクリック!
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