今日も経済ネタ。
すでに使い古されたフレーズの気もするのですが、
未だに多い
「日本は少子化だから、もう成長しないんだよ」説。
『
「人口増加で高度経済成長した」はウソだった』の記事でも書いたんですが、ウソです。
そして、「日本はもう成長しない説」の根拠のひとつが
「少子化で消費が減るから」というもの。
日本は人口減少で消費が増えた?
日本は、2004年から人口減少が始まりました。
さて、消費はそれに伴い減ったのか?
ちなみに、消費の総額は
GDP統計を見ればすぐ分かります。
※内閣府「2017年度国民経済計算:経済活動別国内総生産(名目)」より
あれ?消費増えてね?
民間最終消費支出:約289兆円(2004年)→
約303兆円(2017年)
政府最終消費支出:約94兆円(2004年)→
約108兆円(2017年)
2004年と比べても、
約27兆円増えています。
デフレになる直前の1996年と比べると、
約46兆円も増えています。
少子高齢化で消費が増えた
そもそも日本は
少子”高齢化”なので、消費が増えるのは当然ですね。
(というか、総人口はほとんど減っていない。)
日本の総人口(左軸、千人)と生産年齢人口比率(右軸)
子供よりも高齢者の方が消費額は多いのです。
一番良い例が医療費です。
というか、何でマスコミは、医療費の増加をネガティブに書くんだろ?
デフレなんだから消費が増えるのはいいことだろ。
政府最終消費支出の内訳
ちなみに、
政府最終消費支出が増えていることを受けて
政府が無駄に支出している!無駄を減らせ!(゚д゚ )
などと、頭の悪いことを言ってはいけません。
政府の支出のうち半分以上は、
消費者が家計(=国民)である支出なのです。
医療サービスや
教育サービスなどへの消費に対して、
政府が代わりに支払いをしている、というだけですね。
※内閣府「2017年度国民経済計算:経済活動別国内総生産(名目)」より
しかも全体の割合でみると、
政府現実最終消費は減っています。
これで「健全な行政サービスを提供しろ」というのは無理があるでしょう。
日本は投資を減らした
GDPになる支出には、「消費」以外に
「投資」があります。
投資の推移も、
GDP統計を見れば簡単に分かります。
(
固定資本形成という項目が相当します。)
※内閣府「2017年度国民経済計算:経済活動別国内総生産(名目)」より
住宅投資:約28兆円(1996年)→
約17兆円(2017年)
企業設備投資:約84兆円(1996年)→ 約86兆円(2017年)
公的固定資本形成:約47兆円(1996年)→
約28兆円(2017年)
企業が辛うじて頑張っているくらいで、
デフレになる直前の 1996年と比べると、合計で
約29兆円も減らしています。
生産年齢人口が減っている他の国と日本
一例ですが、日本と同じく若者が減っている国との比較。
日本、ジョージア、ラトビアのGDPと生産年齢人口(対1997年比、倍)
人口と経済成長に相関がないことは、
以前の記事で書いた通りですね。
では、投資の総額と比較した場合、どうか?
日本、ジョージア、ラトビアのGDPと総資本形成(対1997年比、倍)
日本は
投資を減らしたから衰退しているってだけですね。
今日の駄文
- 少子化でも、日本の消費は増えている。
- 政府最終消費支出の中には、家計(=国民)の消費が含まれている。
- 日本は投資を減らしているため成長していない。
以前、「
中央銀行の誕生と税金の役割」の記事で、
経済学は
中央銀行ができる以前の知識体系を引きずっている、と書きました。
実は、それ以外にも経済学は
産業革命以前の知識体系を引きずってもいます。
「
労働集約型と資本集約型のマネジメント」で書いたように、中世以前の世界は、
- 産業は労働集約型
- 労働者は最低生活水準の賃金しか得られていない
という状態です。
つまり
「人口が増えないと経済も成長しないし、消費も増えない」という世界です。
だから、経済学を学んでしまった人は、「この人、いいこと言うな」という人物でも、
解決策を間違えてしまうわけです。
日本は少子化でもう成長しないから、海外から人を入れて儲けろ、って論法ですね。
民間消費が約300兆円なのに対して、旅行収支は
2兆円程度なんですが・・・。
ジョン・メイナード・ケインズは、金本位制を
「未開社会の遺物」と揶揄しましたが、
経済学そのものが、未開社会の遺物ですね。
確かに、未開社会の遺物をもとに今の実体経済を考えてはいけない!
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