よく、以下のような論調を目にします。
日本は人口増加で高度成長した。今は人口減少だから衰退する。
私は、
人口の増減と経済成長は相関が低いことを知っているので、
こんな恥ずかしいことは言わないのですが、
マスコミや政治の世界には、平気でこういう間違いを言う人がいるのです。
「人口減少でデフレになる」はウソ
まず、経済が成長しない原因は
デフレだからです。
デフレの国は
経済成長できません。(← 今回のテーマではないので詳しい話は、また今度)
さて、人口が減少するとデフレになるのか?
まぁ、もうずいぶん昔に否定された話なんで今更ですが、
廣宮孝信さんの記事を紹介しておきます。(2010年頃の記事です)
以下の表は、上記ブログ記事に掲載されていたものです。
見ての通り、人口の増減と経済成長(上記だと「実質GDP増加率」)は、
相関が低いのです。
しかも、日本がデフレで経済成長しなくなったのは
1997年からです。
その頃の日本は、まだ人口が増えていたので、冷静に考えれば当たり前ですね。
日本の高度経済成長期は超人手不足だった
まず
「人口増加=いいこと」という画一的な言われ方をしますが、そうでしょうか?
人口増加が問題になるときがある
いま地球上で最も人口増加の激しい地域はアフリカです。
そして、アフリカで
一番問題になっているのは人口増加です。
ようするに
失業者が溢れてしまっているわけです。
しかも、人が余っているので
奴隷の如く買い叩かれてしまいます。
経済にとっていい状態とは、人口が増えていることではなく
「仕事(雇用)が十分にあること」です。
むしろ、人手不足の方が良い状態なのです。
なぜなら、
賃金上昇圧力になるからです。
一人当たりの賃金が上昇すれば、人口が増えなくても経済成長するわけです。
高度経済成長期の日本の失業率
さて、高度経済成長期の日本は、どのような状態だったのか?
日本の高度成長期の完全失業率(単位:%)
失業率は驚異の 1.5% 未満!(日本の現在の失業率は 2% 前半)
ようするに超人手不足だったわけです。
この頃、日本に十分な雇用が無かった場合、
今のアフリカのように失業者が溢れ、経済成長は鈍化していたでしょう。
日本は人手不足により高度経済成長した
人手不足を補う方法は、大きく2つあります。
1)人で補う(≒移民を受け入れる)
2)技術・設備で補う(≒投資をする)
戦後、日本と欧米(いわゆる資本主義諸国)は黄金期でした。
どの国も、経済成長して雇用が生まれ、人手不足でした。
欧米が取った対策が (1) であり、日本が取った政策が (2) でした。
その結果、経済成長にどのような差が生まれたか?
高度成長期の西側先進国の経済成長率(%)
かなり差がつきましたね。
ちなみに、ドイツは戦後直後は移民を受け入れていなかったそうですが、
1950 年代に受け入れを開始したそうです。(成長率が鈍化しているのが分かります)
移民を入れていなければ、日本と同等の経済成長をしていたろうに(*'-')
投資が経済を成長させる
以前「
開発における生産性の誤解」という記事で、
「投資が生産性を上げる」ということを
書いたのですが、マクロ的に見れば、
「生産性が上がる ≒ 経済成長する」になります。
一人当たりの生産量が増えるので。
勘違いしている人が多いのですが、
例えば、移民が日本に来たところで、日本円の量が
増えるわけではありません。
銀行が貸出を増やせば、日本円の量は増えますが、
銀行は、移民数に応じて貸出を増やす
なんてことはしてません。
移民を入れると、むしろ一人当たりの取り分は減ってしまうのです。
投資をすると、当然ながら銀行融資が増えるので、
投資を増やした方がよいのです。
そして、人手不足の状況というのは、
投資を喚起するのです。
今日のまとめ
- 人口の増減と経済成長の相関は低い。
- アフリカでは、人口増加が問題になっている。
- 日本の高度経済成長期は、超人手不足だった。
- 欧米は移民受け入れによって成長が鈍化し、日本は投資によって成長した。
人口増加と経済成長の相関が低いことは、
データを見ずとも冷静に考えれば分かることなんですが、
自称有識者には、こういう印象論から抜け出せない人が実に多いのです。
日本の政策に大きな影響を与えたとかいう人も、こんなことを言っていたり。
※日本だけ突出して人口が増えたという事実はありません(参考:主要な国・地域の長期人口推移)
人口減少デフレ論を流布した「
デフレの正体」という迷著を大推薦した人が、
テレビで「学べるニュース」と称して司会をしていたり。
こんな状況では、なかなか正しい知識は広まりませんな(*'-')
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