長々とレビューの話を書いてきましたが、
今回は「この観点でレビューが語られることってないよなぁ」と思っていた内容です。
投資という観点から見たレビューの話です。
そもそも、プロジェクト計画に投資計画が含まれていないことが多いんですけどね。
そのせいで、下流工程でキツくなるプロジェクトが多いのです。
(今までの記事)
⇒
ピアレビューの勧めと注意点(レビューの種類)
⇒
ピアレビューの勧めと注意点(よくないレビュー)
ピアレビューの導入
自動化との併用
ピアレビューの導入を考えるときは、
同時に、文書やソースコードのチェックの
自動化も考えましょう。
いきなり目視によるレビューの否定かよ!
と思うかもしれませんが、開発が大規模化すると、文書やコードの量は増えます。
そうなると、すべてをレビューに頼るわけにはいかないのです。
初めのうちから、
レビューと自動化の棲み分けを計画し、
開発者は「人の目でしかチェックできない」部分に集中すべきです。
以下のチェックは自動化しやすいので、早めに導入を始めましょう。
- 表記ゆれ(同じ用語の省略形が混在してないか?等)
- 翻訳ゆれ(同じ単語が、違う単語に翻訳されていないか?等)
- コーディング規約(コードの体裁に関するもの等)
自動化も効果を上げるまでには、運用の慣れ、ノウハウの蓄積が必要です。
中長期の投資になると思って、計画的にコストを配分してください。
レビュアーを育てる
開発プロジェクトでは、
レビュアーが育っているかどうかを見るだけで、
プロジェクトの後半が「混乱するか否か」が分かります。
それくらい重要なのです。
レビューができる = 代役ができる
前回の記事で、「レビューの負荷が特定の人に偏ってしまうことがある」と書きました。
開発の仕事は、
すべてをマニュアル化することは不可能です。
専門的な知識と経験を必要とする仕事が大半です。
特定の人に仕事が偏ったとき、
代役を務められる人、少なくとも
手伝える人がいないと、
開発の進行が妨げられてしまいます。
レビューができる人というのは、この
代役ができる人になります。
レビュー導入の本質 =人材投資
レビューは、上手く行えば、低コストで手戻りを防いでくれる優秀な手段です。
しかし、私は
「人材を育てる」という部分こそ、大事だと思うのです。
正しいレビューの方法をいくら導入しても、人材が育っていなければ効果はありません。
人材投資って、なんか難しいな・・・(*'-')
そんなに堅苦しく考える必要はありません。
必要なのは
「知識と経験」です。
開発者たちが
必要な情報を共有でき、また
経験を積める環境があればよいのです。
そして、その環境を作るのがマネージャの仕事なのです。
生産性向上のための投資とマネジメント
レビュアーの育成は、特に難しい話ではありません。
プロジェクト運営ができていて、
「生産性」を正しく理解している組織では、
自然とレビュアーが育つのです。
生産性は投資によって向上する
以前、「
開発における生産性の誤解」という記事の中で、
以下のようなスライドを紹介しました。
生産性を上げるには、この3種類の
投資をバランスよく計画的に行う必要があります。
実は、先に説明した「
自動化の併用」は、
設備投資、技術投資であり、
「
レビュアーを育てる」は、
人材投資なのです。
※もちろん、自動化の運用にも知識や経験は必要なので人材投資の要素は含まれますが。
投資にはマネジメントが必要
そして、
人材投資、技術投資は中長期の視点が必要です。
マネージャが、
プロジェクト後半までに、このような人材が必要であり、
プロジェクトチームの生産性は、ここまで引き上げておく必要がある
と目標を設定し、
プロジェクト計画に
投資計画を組み込んで運用していく必要があります。
とにかく、レビュアーが育っていないプロジェクトは、
プロジェクト計画がお粗末なことが多いのです。
今日のまとめ
- レビュー導入の本質は、人材投資である。
- 自動化(設備投資、技術投資)を併用して、レビューの効果を上げる。
- マネジメントが機能しているプロジェクトではレビュアーが自然と育っている。
私が以前、働いていたとある職場では、
「成果物の品質は、開発者のプロ意識次第」という教義があり、
- 特定の人に負荷が集中する
- 誰もその人を手伝えない
- その人が休む
- 作業が止まる
ということを
毎プロジェクト繰り返していました。
「プロ意識」とは、あくまで開発者の行動を後付で評価するための
抽象語であり、
生産性向上という
具体的な現象の原資になるものではありません。
当然、この組織では中々レビューが根付きませんでした。
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