前回の続き。
何故、イギリス国民は EU を離脱したかったのか?最終回。
グローバル化の国際協定「EU」
何回も書いてますが、経済におけるグローバル化の定義。
(経済における)グローバル化の定義
ヒト・モノ・カネの国境を超えた移動を自由化する。
自由化!(゚∀゚)
・・・聴こえはいいんですが、前回・前々回の話を踏まえると、
その裏の意味は
「主権の制限」ということになります。
そして、主権を制限された(小さくされた)政府のことを
「小さな政府」と呼びます。
小さな政府(マーストリヒト基準)
小さな政府を実現する一番手っ取り早い方法は何か?
それは、政府支出に制限を課すことです。
EU の創設を定めた
マーストリヒト条約には
単年度の政府の赤字額が GDP の 3% を超えてはならない
という基準がありました。
これは
「財政主権の制限」になります。
緊縮財政の強要
財政主権の制限とは、昔の記事『
国民経済を知ろう(経済循環)』の図を使うと、
以下の場所に制約がかかるということです。
この状態でも、景気が良い時期は問題ありません。
民間企業が、銀行から融資を受け、投資をしてくれます(お金が実体経済に供給される)
問題は、不景気になったときです。
『
ユーロという歪な貨幣』で紹介したように、まさにマーストリヒト基準も
危機のときに真価を発揮する(by ロバート・マンデル)
というわけです。
民間企業が投資を控える中、各国の政府が、
国民や国内産業を守るために支出をしようとしても、
出来ないわけですから。
ラインハート・ロゴフ論文
このマーストリヒト基準の理論的な根拠とされているのが、
「国家は破綻する(原題:This Time Is Different)」の著者である
ケネス・ロゴフ氏とカーメン・ラインハート氏が発表した論文です。
論文の肝を一行で書くと
政府債務が対国内総生産(GDP)比で90%を超えると、経済成長率が劇的に減速する。
となります。
だから
「政府は支出を抑えろ」ってわけですね。
・・・けど、この論文、
間違っていたことが分かってるんですよね( -_-)
けど、マーストリヒト基準が見直されることはありません。
なんせ、
裏の目的があるわけですからね(by ロバート・マンデル)
ただ利用していただけの論文の正否なんて、どうでもよいわけです。
民主主義の制限(欧州議会)
2015年に、EU 加盟国のひとつであるギリシャで国民投票が行われました。
目的は
「緊縮財政の受け入れの賛否」です。
なんせ、ギリシャは失業率が、これでしたから。
「政府が支出を増やして、景気の下支えをしてくれ!」と訴えたわけです。
2014年5月時点 主要国の失業率(単位:%)
投票結果は「反緊縮」が勝利!(゚∀゚)
・・・そして、
実施できず( ´_ゝ`)
なぜなら、EU 加盟国は
欧州議会の決定に従わなくてはならないからです。
欧州議会は、当然マーストリヒト基準の厳守を求めてきます。
EU 加盟国は、主権を制限されている以上、
民主主義も制限されているわけです。
・・・あれ?
EU の理念って
「自由、民主主義、人権の尊重、法の支配」じゃなかった?
もともと、EU は矛盾を抱えたシステムなのです。
中国への依存
そして
「財政主権の制限」と
「民主主義の制限」が合わさることにより、
厄介な問題が出てきます。
まず、国内の需要が縮小しているときに、政府が支出を増やせない。
・・・この場合、どうなるのか?
海外のマネーに依存するしかなくなります。
結局、EU の誕生により一番利益を得たのは、EU 加盟国ではなく中国でした。
そして、この EU の
中国依存は、この問題 ↓ が絡むと非常に厄介です。
中国がイギリスとの約束を破っている以上、イギリスはこの問題に介入すべきなんですが、
欧州議会が簡単に中国と手を切るはずがありません。
EU に加盟している限り、主権を制限されているイギリスは、なかなか動けませんでした。
別にイギリス国民は、遠く離れた香港のことを考えてブレグジットに賛成したわけでは
ないでしょうが、それでもイギリス政府は、この楔からは解放されたわけです。
・・・マスコミって、ちゃんと
ブレグジットと
香港デモを絡めて報道してんのかな?
駄文
・・・長くなってしまった。( -_-)ヾ
要するに、ユーロや EU というシステムは、
各国から
主権を剥奪するシステムだったということです。

(
https://twitter.com/raytonajp/status/747006723920015360)
イギリス国民は、失った主権を取り戻したかったというわけですね。
(↓ は 2014年5月28日の記事)
なぜか日本のマスコミは、未だ短期的なビジネスへの影響しか語らないんですよね。
しかも、単なる印象論で、かつイギリス国民の選択を見下す内容が多い。。。( ´_ゝ`)ハァ
まぁ、日本のマスコミにインテリジェンスを求めても仕方ないですね。
※参考:ブレグジットにおける本質的な問題は、この動画 ↓ の前半部分によくまとまっています。
入るは簡単、入れば不自由。出れば自由だけど、出るのは過酷。
ちゃんと離脱させない仕組みも用意してるとは。けどイギリスは離脱を選択したわけですね。
確かに、ブレグジットとは主権と民主主義を取り戻す戦いだった!
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