グローバル化の完成形「ユーロ」
日本人は横文字に弱いので、未だに「これからはグローバルな時代!」などと言ってますが、
今のグローバル化は
「第2次グローバル化」であり、そもそもが古い考え方。
また、第2次グローバル化も既に世界中で後退しています。
但し、それを語りはじめると長くなるので、その件については今日は脇に置きます。
今日の記事に必要な知識は、
経済におけるグローバル化の定義だけ。
(経済における)グローバル化の定義
ヒト・モノ・カネの国境を超えた移動を自由化する。
グローバル化という言葉を使う人の中には、この定義すら言えない人も多いんですよね。
この定義は、覚えておきましょう。
ユーロ加盟により消えた2つのもの
ユーロは、EU(欧州連合)の19か国+6か国が加盟している共通通貨です。
もともと EU 圏内では、
労働者・商品・サービス・資本などの移動の自由が
確保されていました。まさにグローバル化を目指したシステムなわけです。
そのグローバル化を更に加速させたのが、共通通貨ユーロです。
それは、通常の国家間にある2つのもの(制度)が消えたからです。
問題:ユーロ加盟国間から消えた2つのもの(制度)とは?
答え:「
為替レート」「
関税」
共通通貨とは、簡単な話
「加盟国間を固定為替相場制にする制度」です。
そして、
関税撤廃はユーロ加盟の条件です。
関税があると、固定為替相場にする意味が無くなっちゃいますからね。
貿易赤字のとき
全ての国は経済力において平等ではありません。必ず貿易不均衡はおきます。
どこかの国が黒字なら、
どこかの国が赤字です。当たり前ですね。
貿易赤字の国は
「輸入 > 輸出」になるので、外貨が必要になります。
両替をするため(自国通貨を売って、外貨を買うため)、
その国の通貨は
為替レートが下落していきます。
(外貨の価値が高まり、自国通貨の価値が下がる)
すると!
輸出において有利になります!
自国の品が、相対的に安くなるわけですからね。
そして、その間に自国の産業を育てることができるわけです。
変動為替相場制の国においては、為替レートが
緩衝剤の役割を果たしてくれるのです。
しかし!
それでも勝てなかった場合はどうするか?
(安くて品質のよい製品を作ってる国と勝負する場合は?)
はい、
関税をかけましょう!
「為替レート」と「関税」は、
自国産業を守る「盾」とも言える存在なわけです。
無くしたものは主権だった
ユーロ圏の貿易赤字国たち(通称:PIIGS諸国)は、その「盾」を失っているので、
ユーロ圏内においては、
永久に貿易赤字から抜け出せない状態なわけです。
そして PIIGS諸国は、外貨以前に、まずユーロ自体を稼がないといけません。
日本であれば、
日本銀行が日本円を発行し、日本政府がそれを借りるという方法が使えます。
(参考:『
返済負担のない負債』)
・・・が、
そもそも、ユーロ加盟国は
通貨発行権がない!
ユーロの発行権を持っているのは、
欧州中央銀行(ECB)です。
PIIGS諸国は、ユーロを外国(の銀行など)から借りる以外にないわけです。
しかし、貿易赤字を是正できない以上、借りたユーロを返せる当てはありません。
・・・はい、詰みました。ヽ( ´ー`)ノ
経済が順調だったときは気付かないけど、
一旦、経済危機に陥るとどうしようもなくなる。
そんな欠陥システムがユーロだったわけです。
各国の政府に残された手段
各国に残された手段は
「緊縮財政」しかありません。
国民からユーロを徴収し(=
増税)、
支払うはずだったユーロは節約(=
公務員削減、社会保障費カット、等)
しかし、そんなことをしたら国内が不景気になるのは目に見えています。
政府の黒字は、
国民の赤字ですからね。
しかし、通貨発行権を失っている以上、この方法しかユーロを得る手段がありません。
リーマンショック後の PIIGS諸国は悲惨でした。
なんせ失業率が、これでしたから。
2014年5月時点 主要国の失業率(単位:%)
ユーロの本当の目的
さて、冒頭のグローバル化の定義。
国境を超えたヒト・モノ・カネの移動の自由化です。
そして、経済における国境(≒関税や為替)は、
国内の産業や国民の生活を守る「盾」の役割があるという話もしました。
そして、この2つは衝突をします。
関税や為替は、特にモノやカネの動きを国境で制限するわけですから。
要するに、グローバル企業にとっては、その
「盾」が邪魔だったというわけです。
事実、経済危機に陥ったギリシャは、こんなことになりました。
グローバル企業の狩場になったわけです。
これを止められるのは
政府しかいません。しかし、何をするにもお金は必要です。
そのために各国政府には通貨発行権などの
金融主権があるわけです。
それを無くしたら
何も守れないってわけです。
ユーロ設計者の本音
2012年に、このような記事が書かれました。
ユーロを設計した経済学者の一人、ロバート・マンデルが、こんなことを言っていたそうです。
Robert Mundell, evil genius of the euro(ロバート・マンデル、ユーロの邪悪な天才)
https://www.theguardian.com/commentisfree/2012/jun/26/robert-mundell-evil-genius-euro
For the architect of the euro, taking macroeconomics away from elected politicians and forcing deregulation were part of the plan
(選挙で選ばれた政治家からマクロ経済を奪い、規制緩和を強要することは、ユーロ設計者にとって計画の一部だった。)
The euro would really do its work when crises hit, Mundell explained.
(ユーロは危機のときに真価を発揮する、とマンデルは説明した。)
まんまとやられましたね(*'-')
PIIGS諸国の国民たちは、選挙で戦ったところで、どうすることもできません。
それこそ、革命以外ないですね。
だからこそ、現在の欧州では、こういう運動が終わらないわけです。
大手メディアって、こういう繋がりをちゃんと説明してんのかな・・・?
駄文
そういえば、極東には、
通貨発行権があり、
関税自主権もあり、
変動為替相場制のくせに、
自ら緊縮財政を20年以上も行い、ライフラインを切り売りしている国があるんだってさ。
けったいな国ですね。これは経済構造のせいではなく、
そこに住んでいる国民が救いようもないバカばっかりということなんでしょう。
そんな国は、じきに滅びますよ(*'-')ヤレヤレ
確かに、共通通貨は主権の放棄に他ならない!と思われた方は、バナーをクリック!
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