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東からの放浪者

様々なソフトウェア開発を経験してきた視点から、開発、マネジメント、経済などについて書いています。
タイトルは、あるレトロゲームからのオマージュ。

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それは無意識の事業縮小

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それは無意識の事業縮小

ソフトウェアは、開発規模の肥大化の速度が非常に早いです。
また、開発規模が大きくなるほど生産性が低下します。

つまり、ソフトウェア開発には生産性向上のための投資が必須です。
投資もマネジメントも行われないと、どうなるか・・・?

スライドを書いた本当の理由

今日は、スライドを書くきっかけになった私の体験談です。
もし、みなさんの職場が似たような雰囲気であれば、要注意かもしれません。

暇だったら読んでみてください。( -_-)ヾ

ソフトウェアの肥大化に対応できない ´´(;´Д`A

ソフトウェア開発をされている方なら、
ほとんどの方が、開発規模の肥大化、納期の短期化には悩まされた経験があると思います。

私が働いていたその職場でも、御多分に漏れず苦労していて、
まともな品質で製品を作れなくなっていました。

いわゆるソフトウェア危機というやつです。

そんな折り、組織変更が行われました。

組織変更、その目的は・・・

私は、密かに期待をしました。
組織変更は、投資の前段階として行われることがよくあります。
投資には、選択と集中が必要なためです。

※ちなみに、組織の体制と、どこに投資されているかを見れば、
 その組織は、数年後にどこが伸びてくるかが分かります。

今後は、より短い期間でより多くの製品やサービスを供給できるように
生産性向上のための投資計画が・・・

待てど暮らせど発表されませんでした。_(:3」z)_

私には一抹の不安がよぎりました。

ここで投資計画を実施できなかったら、
今後の規模の肥大化に、もう対応できなくなるんじゃないかと。

投資計画のないプロジェクトがスタート

スライドでも書きましたが、
投資計画もなく大規模なプロジェクトを開始すると、こうなります。

開発プロジェクトにおける投資 

後半になって、慌てて設備を増強しているプロジェクトは、
明らかに投資計画がお粗末なプロジェクトです。

ようはマネジメントのミスなんですが、
そういうマネージャに限って、自分の仕事を分かってません。

そのプロジェクトでも、
マネージャが現場のエンジニアに、
スケジュールの遅れを叱責するという状態でした。_(:3」z)_

具体的な理由と、明確な指示があればよいのですが、
当然そんなものはなく、「プロ意識がない」という曖昧な言葉のみでした。

プロジェクトが終わって

しかし、なんとプロジェクトは無事に?終了しました!
リリースの遅れと、貴重な人材の何人かを失うことになりましたが。。( -_-)

まぁ、現場では以前から改善活動を地道にやっていましたからね。
その成果とエンジニアたちの努力の賜物です。

さぁ、マネージャたちはこれに懲りて、
エンジニアたちへの謝罪とプロジェクトの事後検証を・・・

するはずもありませんでした。_(:3」z)_

ちなみに、現場のエンジニアたちは自主的に、事後検証をやっておりました。
涙が出ますね。

そして生産性の向上へ?

その後、マネージャから今はやりの「生産性」という言葉が出てきました。
投資計画もできない、プロジェクトの事後検証もしないで、生産性?

案の定、具体的な目標も投資計画もなく、
「みんなで工夫していきましょう」という言葉のみでした。

感想はひとつでした。

あ、この組織の生産性は上がらない。

そして、この体験が以下の 2 つの記事になりました。

無意識の事業縮小

そんな職場で、私はある傾向に気づきました。

大企業からの中途採用者の離職率が高い。

私もそうだったんですが、大企業で働いていると
「事業拡大している事業所」と「事業縮小している事業所」の差が、あからさまに分かります。

投資の量、生産性の伸びが違うわけです。
逆に、事業縮小している事業所は、生産性を下げていきます。(意図的に、ですが)

ソフトウェアの肥大化と生産性の低下

ご存じとは思いますが、ソフトウェアの開発規模は、
強くコントロールしていないと、指数関数的に増加します。

人員増加による生産性向上 

人員追加では、ともて追いつきません。
もっというと、エンジニアたちの自己研鑽による成長を加味しても無理でしょう。
規模の不経済を考慮すると、むしろ生産性は低下しているのかもしれません。

つまり、ソフトウェア開発をしている会社は、

投資をし続けないと、生産性を維持しているつもりが、
無意識に事業を縮小している結果になる。

ということです。

大企業から転職してきた人は、その雰囲気を敏感に察知した、ということなのだと思います。
・・・というか、私もそうでした。(考察をしたのは辞めた後ですが)

今日のまとめ

  • ソフトウェアを開発している会社は、生産性向上のための投資をし続けないといけない
    (もしくは、強い意志で開発規模の増大を抑える)
  • エンジニアの成長のみに頼っていると、事実上の事業縮小になる。

その職場って、その後、事業撤退でもしたの?(*'-')

実は、経営状態はそんなに悪くないらしいです。
ただ、「開発における生産性の誤解」でも書いたように、生産性とは利益の話ではないのです。

開発規模の増大は否応なしにやってきます。
そのとき、今から投資をして準備していた他社と張り合えるのか?それは疑問です。

いつの時代にも、未来を犠牲にして現状をすこしよく見せようとする企業はある。
そのような企業は、しばらく羽振りがいいが先行きは暗い。

『ゆとりの法則』(トム・デマルコ 著)より


ゆとりの法則 -誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解
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コメント

プロフィール

HN:
なかば
性別:
男性
職業:
元ソフトウェアエンジニア
自己紹介:
東京のゲーム会社でゲームプログラマ。
家電メーカーで組み込みエンジニア。
その後、京都に移動して観光を楽しみながら
製品開発、業務改善、QA管理などを経験。
今は東京に戻って暮らしています。

詳細な自己紹介は、こちら

ブログ紹介

管理人(なかば)の個人ブログです。

もともと、以前の職場で投稿していた社内ブログの延長で書き始めました。
エンジニア仲間に向けた雑な口調はそのままにしていますが、その辺は気にせず読んでもらえると嬉しいです(*'-')

諸事情により更新を停止していますが、生きています。そのうち再開する予定です。

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