開発におけるマルチタスク化
開発現場で「スマホを見ながらコーディングを行う」なんて離れ業を行う人はいませんが、
複数のタスク(業務を分割したときの最小単位)の担当になることは、よくあります。
ひとつのタスクを完了してから、次のタスクに移るというのが理想なんですが、
なかなか理想通りにはいきません。
- タスク1が完了する前に割り込みが入る
- タスク1を中断し、次のタスク2を片付ける
- タスク2が完了したので、タスク1に戻る
- どこまでタスク1を進めていたかを思いす・・・(  ̄^ ̄)ξ
- タスク1の続きを開始
- また割り込みが入る( ´_ゝ`)
大体こんな感じで生産性を落としていきます。
『
アジャイルな見積りと計画づくり
』に掲載されていたデータによると、
3つ以上のタスクを担当している開発者は、
タスクそのものにかける時間が少ない傾向にあるようです。
(残りの時間は、スイッチングコストに取られる。)
マルチタスク化が生産性に与える影響
開発現場でのマルチタスクの発生要因
マネージャ「そうか、開発者に割り込みが発生しなければいいんだな」
しかし、そうは問屋が卸さない。
ここからは、私の経験則になりますが、
実は、作業の割り込みのみに注意を払えばよいわけではなく、
無意識に現場をマルチタスク化してしまっているマネージャが多くいるのです。
要因1:設備投資の不足
私は、大規模なソフトウェア開発にも、いくつか携わったことがあるのですが、
ほとんどの現場では、開発者が
ビルドマシンのスペックに不満を持っていました。
ビルド時間は、ソフトウェア開発における一番身近な
作業中断要因になります。
つまり、マルチタスク化の要因になっているわけです。
酷い現場では、5年くらい前の PC(OS も古い)を使っていたこともありました。
開発者が、「ビルド時間が作業の妨げになっている」ことを申告すると、
マネージャ「その間を他の作業に充てるなり、工夫すれば解決できる」
という返事が返ってきて、仰天したこともあります。
ビルドマシン以外にも、現場の
設備投資が不足しているため
開発者が作業の中断を余儀なくされる例は、よくあります。
要因2:下流工程を考慮しない設計
以前、私がデータベースのテストを担当していたとき
これ、テストプログラムは 10数秒で終わるのに、
テストの準備に20分もかかるのを何とかしてほしい( ´_ゝ`)
という状況になったことがあります。
テストが失敗する度に、20分待たされるのです。
・・・いや、ほんとにストレスだった。
原因は、設計の
テスタビリティ(試験性)の低さにありました。
それが、作業時間の分断を招いていたわけです。
なぜ、そのような設計になっていたかというと、
その開発プロジェクトが、テスト工程のことを全く考慮せずに進められていたためでした。
根本の原因は、
プロジェクト計画の不備、及び
各工程でのチェックの不備だったわけです。
要するに、プロジェクトマネジメントのミスです。
要因3:開発体制の不備
ソフトウェア開発は、規模が大きくなるに従い、
テストの工数の比重が大きくなります。
⇒ 参考『
ソフトウェア開発は開発規模に注意』
また、開発規模が大きくなるに従い、
チームリーダー、そして
プロジェクトリーダーという役割が必要になってきます。
⇒ 参考『
ソフトウェアの開発規模とチーム人数』
人的資源(ヒューマンリソース)マネジメントは、マネージャの大事な仕事です。
開発規模に応じて、適切に人員を配置しなければいけません。
しかし、そんな状況において、こんなことを言うマネージャに会ったことがあります。
マネージャ「全員が主体的に行動して、仕事をしていきましょう」
はい、無能。
・・・開発者みんなが、
設計者 兼
テスター 兼
プロジェクトリーダー( ´_ゝ`)
最悪のマルチタスクの発生です。
生産性へのダメージは大きく、現場の疲弊も著しいので、
マネージャは、このような
いい加減な開発体制を敷いてはいけません。
今日のまとめ
- 開発現場でマルチタスクが発生すると生産性が下がる。
- マルチタスク化は、作業の割り込み以外でも発生する。
- プロジェクト計画、投資計画、開発体制の不備はマルチタスク化の原因になる。
最後に開発体制の話が出てきましたが、『
体制図の意味』の記事で書いた通り、
開発体制の構築も、
投資計画の一部なわけです。
プロジェクト計画を立てるときに、単純にスケジュールを引いたり、
体制図を書いただけで終わりにするマネージャがいますが、
- プロジェクトを完遂するまでの作業の規模を把握し、
- そのために、どの程度の生産性を確保しなければいけないかを把握し、
- そのための投資計画を立てる
・・・ということまでやっているマネージャは、非常に少ない気がします。
しかし、それが
マルチタスク化の要因になってしまっているのです。
確かに、投資計画の不備はマルチタスク化の要因になっている!
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