前回の「
マルチタスクの記事」の余談。
以前に勤めていた会社で、マネージャが新人たちに、
以下の様なことを言っていたことがありました。
俺が若いときは、3つくらい仕事を掛け持ちしていた。
君たちも、もう少し頑張れるよ。
ようは、新人たちにマルチタスクを進めていたわけですが、
このマネージャの武勇伝は、おそらく以下のどちらかだと思います。
- 仕事の規模、もしくはスコープ(範囲)が小さかっただけ。
- 気のせい。
マルチタスクの弊害を認識していないリーダーやマネージャは、余り優秀とは言えません。
なぜなら、リーダーやマネージャの方が、より顕著にマルチタスクの被害を受けるからです。
人間の頭はマルチタスクが苦手
苦手というか、出来ないんですけどね。
コンピュータなら、こんな綺麗にスイッチングできるところを・・・
人間がやると、こうなってしまいます。。。
こんなの、いちいち言わなくても当たり前だろ(*'-')
けど、この当たり前のことが、開発現場ではなかなか考慮されない。
一人の開発者が複数のタスクを抱えてるのを放っておいて、
見積りでは、
単純に個々の作業工数を足すだけってマネージャいません?
メンタルのスイッチには、より時間がかかる
開発者には、ひとつの作業に集中できる環境が必要なわけですが、
それは前回の記事で書いたこと。
⇒ 参考:
開発現場でのマルチタスクの発生要因
ここまでは前振りで、今日の余談はリーダーになったときの話。
新人リーダーの悩み
私は、若いリーダーたちから、何回か以下のような相談を受けたことがあります。
なんか最近、仕事の効率が落ちた気がして、調子が悪いです・・・。
もちろん能力が落ちたわけではなく、これも一種の
マルチタスクの弊害です。
設計や実装などの
具体的な成果物を作る仕事の場合、優秀なエンジニアであれば、
複数の仕事を積まれても(環境次第ですが)一つ一つ集中して片付けていくことができます。
だからこそ、彼らはリーダーに選ばれたわけでしょうけど・・・。
しかし、リーダーやマネージャの仕事は、
計算では解決できない問題を解決するものです。
つまり、設計や実装とは以下の部分で異なるわけです。
- 一つ一つ順番に片付けていく、という方法が取りづらい。
- 頭の切り替え以上に、メンタルの切り替えに時間がかかる。
これを考慮しないと、リーダーになった途端に「調子が悪くなった」と感じてしまうわけです。
ひとつのスコープに集中する
リーダーは「タスク」という小さな単位で仕事をするわけではないですが、
少なくとも、ひとつの「スコープ」に集中するべきです。
つまり、全く業務の異なる2つチームのリーダーを
兼任したりしてはダメ、ということです。
例えば、
設計チームのリーダーと、
QAチームのリーダーの兼任なんてもってのほかです。
・・・そのもってのほかの状況に、むかし私はなったことがあるんですが、
一日単位で仕事を切り替えても、難しかったですね。
それほどメンタルの切り替えには時間がかかります( -_-)
やむを得ず、そのような配置になってしまったら、
次のリーダーを育てて、兼任解除の方向に速やかに動くようにしましょう。
今日のまとめ
- 人間の頭は、タスクのスイッチに時間がかかる。
- メンタルのスイッチには、もっと時間がかかる。
- リーダーになったら、メンタルのスイッチの発生頻度に気を付ける。
リーダーが、マルチタスク(というかマルチスコープ)になると、
生産性は(定量化はできませんが)一気に落ちます。
そして、それは
他のメンバーたちの負担にもなってしまいます。
余計な仕事は、断るか、他の人に任せるべきです。
冒頭の「マルチタスクを推奨していたマネージャ」は、
自分自身の生産性の低さや、部下たちの負担にも気付いていなかっただけでした(*'-')
確かに、リーダーはメンタルのスイッチも考慮しないといけない!
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