以前の記事でもある程度触れているのですが、改めてまとめ。
中央銀行が誕生する以前の世界では、政府が財源を確保するためには、
徴税するか、
他国から奪うしかありませんでした。
しかし、中央銀行が誕生すると、政府は
財政的な制約からは解放されました(
財政革命)
そして、税金の役割も変わったのです。
税金の役割
政府が財政的な制約から解放されても、
無税国家にはなれません。
現実の世界には、財政以外の制約があるからです。
景気調整機能(スタビライザー)
国民経済におけるお金の循環を、簡易的に示すと以下のようになります。
民間経済主体(企業や家計)の間で、お金が滞りなく循環していると、景気は良い状態です。
しかし
「景気が良すぎる」という状態も良くないのです。
物価が上がり過ぎて、
賃金上昇が追い付かない状態(
悪性のインフレ)や
余ったお金が投機に集中し、
資産価格の急激な上昇(
バブル経済)を招きます。
そんなときは、政府が
緊縮財政を行い、景気を鎮静化させます。
この機能が自動的に働くのが、
所得税です。
所得税には
累進性があり、国民の所得が増えると、自動的に税負担が重くなり、
逆に不景気になると、自動的に税負担が軽くなります。
所得再分配(格差の是正)
これも
前回の記事で触れましたが、
所得を再分配して、格差を是正する役割です。
所得の高い人は、消費性向が低いため、所得を再分配しないと、
実体経済で使われないお金(生産活動に使われないお金)が増えてしまい、
景気の停滞を招いてしまいます。
詳しくは
前回の記事に書きましたが、これは IMF(国際通貨基金)も認めています。
そして、この機能がない税金が
消費税です。
マスコミ等では
「安定財源」とか
「公平な負担」と呼ばれていますが、
税金とは、
全員から公平に安定して徴収してはいけないものなのです。
誘因(インセンティブ)
日本でも、いわゆる
環境税というものが導入されています。
参考:環境省「
地球温暖化対策のための税の導入」
(温暖化の原因が本当に CO2 なのか?は本記事の論点ではないので脇に置くとして)
このような税により、
企業の行動を抑制したり、促進したりできます。
そして、このような機能を持った税金が他にもあります。
法人税です。
参考:
損益計算書からみる法人税減税の効果
法人税は、実は
「企業が売上高をどう使うか?」をコントロールするためのものなのです。
消費税
(2019-07-28 追記)
そして
消費税にも、この機能(=誘因)があります。
前述の環境税は、
CO2 排出に対する罰金という側面があります。
そして法人税は、売上を
賃上げや投資に使わなかった企業に対する罰金です。
じゃぁ消費税は・・・?
消費に対する罰金です。
経済成長を阻害する要因でしかないですね。
そして、日本の消費税は、
付加価値税でもあります。
つまり、
付加価値の創出に対する罰金でもあるわけです。
正直これって、文明を衰退させる誘因ですよね。
消費税って、国民経済においては害しかない税金なわけです。
租税貨幣論(通貨使用の強制)
既存の経済学では
「なぜ人々が金(Gold)と兌換できない通貨を使っているのか?」を
説明できませんでした。
昨今、話題の
MMT(現代貨幣理論)では、
結局のところ国家権力が裏付けになっている、としています。
具体的には
徴税権です。
そもそも、現金紙幣も
日銀法により、
強制通用力が定められてますしね。
現代では、通貨の裏付けは「金(Gold)」ではなく「国家」なわけです。
※既存の主流派経済学の理論は、通貨には金などの担保がある前提になっています。
逆に、政府が機能していない発展途上国や、戦乱状態の国では、
普通に他国の通貨が流通していたりしますからね。
ウォーレン・モズラーの名刺(ビジネスカード)
MMT国際シンポジウムで、ステファニー・ケルトン教授がされていた話が、面白かった。
租税貨幣論が簡単に分かる逸話です。(動画で解説しているのは、三橋貴明氏)
何の価値もない名刺が、価値を持った瞬間です。
※)
YouTube の方の動画が閲覧不可になっていたので、
ニコニコ動画の方も貼っておきます。(2020-05-30)
今日のまとめ
- 税金の役割は、景気調整機能、所得再分配、誘因、通貨使用の強制。
- 消費税は、消費や付加価値創出に対する罰金。
- 徴税権は、国民が通貨を使う裏付けになっている。
あれ?財源確保は・・・?(*'-')
はい、基本的に財源確保の役割はありません。(※)
まぁ、社会は助け合いなので、財政確保のために徴税してもいいんですが、
国民経済が傷つくのなら、財源確保は
国債発行(≒通貨発行)でやるべきなのです。
※地方自治体は通貨を発行できないので、税金は財源確保の手段となります。
財政赤字は大丈夫?(*'-')
租税貨幣論のところの画を見てもらえれば分かりますが、
政府支出 - 徴税 = 民間への貨幣供給量
です。
そして、この
民間への貨幣供給量の別名が、
財政赤字です。
そして、この
民間への貨幣供給量の履歴が、
国債残高です。
ケルトン教授も、そう解説されていました。
ただ、それだけのことなんです。
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