財務省の HP を見ると、
法人税率は段階的に引き下げられているのがわかります。
近年の経営状況が厳しい中小企業などには、有難い措置かもしれません。
法人税率の推移
ただ、財務省の HP では、法人税を引き下げる理由として、以下のように書かれています。
法人課税をより広く負担を分かち合う構造へと改革し、
「稼ぐ力」のある企業等の税負担を軽減することで、企業に対して、収益力拡大に向けた
前向きな投資や、継続的・積極的な賃上げが可能な体質への転換を促すため、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という方針の下で法人税改革が進められました。
これは、
損益計算書の構造を見る限り、おかしな言い分です。
損益計算書
損益計算書(Profit and Loss Statement:P/L)とは、企業の経営成績を表す財務諸表です。
下図は簡単な損益計算書のサンプルになります。
計算書形式だと構造がイメージしにくいかもしれませんが、図解すると以下のようになります。
法人税率が高い場合
法人税率が高い場合、下手に利益を出してしまうと、
税金として徴収される額が大きくなってしまいます。
この場合、国民経済の観点において、どのようなメリットがあるのか?
それは、
賃金上昇や設備投資の促進です。
法人税というのは、いわば
賃上げや
設備投資を行わない企業に対する
罰金みたいなものです。
法人税率が低い場合
法人税率を下げると、
内部留保や
配当金を増やしやすくなります。
逆に、
賃金や設備投資は削減しやすくなってしまいます。
下手に法人税率を下げると、財務省の言い分とは真逆のことが起きてしまうわけです。
そして、銀行からの貸出よりも、預金に回る量が上回ってしまったり、
配当金に回ったお金が、国内の投資に使われなかったりすると、
当然ながら
デフレ不況を後押ししてしまいます。
近年の日本の状況
さて、段階的に法人税を下げてきた日本の状況は如何に。
企業は「前向きな投資」を増やしているか・・・?
以前も紹介したグラフですが、
資本装備率は伸びていません。
企業が投資を控えている証左ですね。
日本の製造業・サービス業の資本装備率(万円/人)
サービス業に至っては、悲惨な状況ですね。。。
ブラック企業も増えるわけです(*'-')
「継続的・積極的な賃上げ」は行われているか・・・?
そして、
労働分配率は横ばい、というか緩やかに下がっています。
日本の企業規模別労働分配率
純利益は過去最高
大企業の利益は、軒並み過去最高を叩きだしているようです。
しかし、企業は
内部留保を増やし・・・
日本の一般企業(民間非金融法人企業)の現預金(億円)
そして、
配当金を増やしています・・・。
日本の売上十億円以上の企業の配当金(百万円)
景気回復の実感なんかあるわけないですね(*'-')
今日のまとめ
- 損益計算書上、賃金や設備投資の費用を引いた後の利益に法人税がかかる。
- 法人税は、賃金や設備投資を行わない企業への罰金という側面を持っている。
- 法人税減税は、内部留保や配当金を増やす効果がある。
法人税減税を申し入れている経団連の人たちや、財務省の官僚たちは、
当然、財務諸表は読めるはずなんですよね。
そして、最近話題になっている
賃金統計の不正問題。
2004年から不正が行われていたようなんですが、
配当金が急激に増加している時期と被っているのは、気のせいだろうか・・・。
確かに、法人税減税は賃上げや設備投資を促進しない!と思われた方は、バナーをクリック!
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