法人税は企業の撤退に影響するか?
各国の法定実効税率の推移
確かに、法人税の減税というのは、近年の世界的な動きです。
※OECD.Stat:Tax Database より
日本は、第二次安倍政権が始まるまで、
アメリカと並んで
法定実効税率の高い国であったことは確かです。
しかし、2015年には、アメリカやフランスより低くなっています。
(補足)実際の税負担
法定実効税率とは、法で定められた
「企業の課税所得に対する法人税、住民税、事業税等の割合」です。
しかし、減免措置や、租税回避などにより、実際に企業にかかる税負担は異なります。
そして、
大企業や多国籍企業ほど実際の税負担は低くなる傾向にあります。
対内直接投資残高対GDP比率
経済産業省の報告によると、2015年当時の各国の
対内直接投資は、
以下のようになっていました。
対内直接投資残高対GDP比率(2015年末)
アメリカやフランスの方が、盛んに投資が行われている・・・。
・・・というか、日本が異常に低い。これ、法人税は無関係だろ( -_-)
海外現地法人の解散・撤退要因
経済産業省は毎年、海外から撤退した企業にアンケートを取っています。
※経済産業省「海外事業活動基本調査:現地法人に関する集計表」より
8年分、回答数は 4522社。
税制を理由に挙げたのは
27社のみ(0.6%)でした。(関税を含めても 38社)
答え:法人税と企業の撤退は関係がない
結局は、デフレを後押ししただけ
そもそも、
デフレ(=需要不足)の国には誰も投資をしないというだけです。
法人税を減税された日本企業も、
海外直接投資を増やしただけでした。
日本の対外直接投資(左軸)と実質賃金(右軸)の推移
じゃぁ、さっさとデフレを脱却すればいいじゃないか?
・・・と思うかもしれませんが、然に非ず。
実はデフレにも(特定の人には)メリットがあるんです。
デフレとは
物価下落(=お金の価値上昇)を引き起こします。
要するに、お金を持っている人や企業はお得ってわけです。
前回の記事で書いたように、法人税減税は、企業が
内部留保を溜めやすくします。
(代わりに賃金は圧縮しやすくなる。)
そして、その溜めたお金で、海外に投資するわけですね。
日本企業も、日本をお財布としてしか見なくなった、というオチでした(*'-')
ただ、そんなことを大っぴらに言うと、多くの国民の反感を買うので、
「法人税を下げないと企業が逃げ出す!」と、カモフラージュしただけですね。
そして、
穴埋めとして上げられたのが消費税、という二段オチでした(*'-')
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2. 無題
>
> https://www.jiji.com/jc/article?k=2018122105132&g=eco
法人税収
2019年:12.8兆円
2006年:14.9兆円
1996年:14.5兆円
1989年:19.0兆円
落ち込み後の微回復を「順調に上がっている」と表現されてもなぁ。
名目値で、30年前の額を下回っているとか異常。