「現場の問題認識」と「上層部の方針」の乖離
現場のエンジニア同士で話していると、この手の
「現場と上層部の認識の乖離」という話を
一度や二度はしたことがあると思います。
現場で同じ苦労をしている者同士、その場では共感し合って終わることが多いでしょう。
しかし、こんな事ってないですか?
以前は、上層部の問題を共有していたはずなのに、彼らがマネージャ候補になるに従い、
彼らの行動が既存のマネージャのそれと同じになってきた。
何がリーダーやマネージャを育てるのか?
リーダーやマネージャの個々の
行動特性って、どうやって育まれるのか?
経験が大事だ!
いや、誰が彼らを育てたか?が大事だ!
どっちも影響が大きいのは確かです。
しかし、もうひとつ大きな影響を与えるものがあります。
「働いている組織の仕組み(システム)」
「仕組み」というと表現が曖昧ですが、規則、評価制度、人事制度、暗黙的に存在するルール
それ以外にも、
社員たちの行動を促したり、制約したりする構造全般のことです。
これが意外と大きな影響を与えます。
仕組みに組み込まれた人、そうでない人の乖離
このことは、実は以前の記事でも書いました。
⇒ 参考:
マネジメントが根付かない開発現場 その2
「組織の仕組みが強固だと、個人の意思や現場の努力だけでは、組織は変わらない」
という内容でした。
しかし、その裏返しの現象として、以下のようなことも起き得るわけです。
「仕組みが強固な組織に組み込まれると、個人の行動特性まで変えられてしまう!」
「この会社にいるとダメになる」の本当の意味
以前、
開発プロセスという概念のない現場で働いたことがあるのですが、
いくら現場から「こんなプロジェクト運営をしていてはダメだ!」と言っても
マネージャ「お、おう!そうだな・・・(゚ ロ ゚;)???」
という反応しか、返ってきませんでした。
しかし、別に彼らは、
悪気があるわけではないのです。
今までマネジメントをしなくても、昇給や昇進が出来て、評価が下がることはない、
という組織で育ってきたマネージャにとっては、
意味が分からないだけです。
そいういう
行動特性になるように、枠にはめられて育ってきたわけですから。
そして彼らは、自分たちが正しいと思っているやり方に反対する人に、良い評価を付けるか?
・・・そんな部下は評価されないでしょう。寧ろ、評価を下げられます。
マネージャ候補生たちは、
自分たちの行動特性を変えざるを得ないわけです。
「この会社にいるとダメになる」の本当の意味:
この組織の仕組みに組み込まれると、
自分の行動特性を「ダメなマネージャ」に変えざるを得なくなる
今日のまとめ
- 組織の仕組みは、個人の行動特性に影響を与える。
- 行動特性を変えた人から、組織に組み込まれるようになる。
- 組織の仕組みは、放っておくと、それを維持する方向に強固になっていく。
本日の例に挙げた組織では、さらにこんなことが起きました。
「希望の仕事ではない」という理由で、何もしていなかったマネージャの
受け持っていたプロジェクトが、当然の如く失敗しました。
しかし、そのマネージャは責任を取らされるどころか、
希望の部署に異動し、希望の仕事を得ていたのです。
しかも、その人事異動を指示した上司と話したとき、
彼、今は異動先で楽しそうに仕事しているで
と、まるで自分はいいことをしたかのように話していました。
マネージャは仕事を放棄すると良いことがある、という
暗黙の仕組みが追加されたわけです。
こうして組織の仕組みは、より強固になっていくのでした。
確かに、組織の仕組みが個人の行動特性に与える影響は大きい!
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