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東からの放浪者

様々なソフトウェア開発を経験してきた視点から、開発、マネジメント、経済などについて書いています。
タイトルは、あるレトロゲームからのオマージュ。

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マネジメントが根付かない開発現場 その3

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マネジメントが根付かない開発現場 その3

前回の記事では、「マネジメントを根付かせるには仕組みが必要」ということを書きました。
では、その仕組みがない組織ではどうすればいいのか?

諦めてください(*'-')

・・・というのは簡単なのですが、
その組織の文化、体制次第では、何とかなるかもしれません。

(今までの記事)
⇒ マネジメントが根付かない開発現場
⇒ マネジメントが根付かない開発現場 その2

マネジメントがない開発現場を何とかする

まず、前提として以下の両方が当てはまるマネージャの再教育は
不可能だと思った方がよいです。

  • マネジメントの仕組みがない組織で育った
  • マネジメントを勉強せずに、長年マネージャをやっていた

基本的に、開発者たちで何とかするという覚悟を持たないといけません。

対策1:上層部からの圧力を使う

前回の記事で、マネジメントを根付かせる仕組みの一つとして
評価制度人事制度を挙げました。

制度が未成熟な組織でも、マネージャを評価する人人事権を持っている人に、
直接掛け合うことが出来れば、「マネジメントをしていないマネージャ」に対して、
マイナスの評価を付けることができるかもしれません。

コネが必要な方法になりますが、
上層部から信頼されているベテラン開発者がいれば、可能かもしれません。

ただし、「圧力を今後もずっとかけ続けてくれ」という要求は、
さすがに通らないと思うので、「マネージャの交代」という要求になると思います。
ただし、やらないよりはマシでしょう。

対策2:開発リーダたちが結託する

開発現場の負荷が高く、成功率も低いので、あまりお勧めできる方法ではないのですが、
「マネージャを無視して、すべて開発者が行う」というものです。

ただし、うまくいけば「マネージャの交代」まで持っていけるかもしれません。

大事なのは組織の文化

私の経験で、一度だけ、この方法が上手く行ったときがありました。

東京のメーカーで働いていたときのことです。
その組織には、開発者がマネージャに対して対等に物を言える文化がありました。

定例ミーティングで成果を報告しないマネージャは、開発リーダたちから、
「お前は、この一週間何をしていたんだ!」と質問攻めにされていました。

そのうち、プロジェクトは開発者の作ったプロセスで回るようになり、
そのマネージャは発言権をなくし、最後は開発者の指示の元で仕事をするようになりました。

ただし、この方法は副作用として、人間関係を壊す可能性が非常に高いです。
やはり、人事権を持っている人に対応してもらうのが、よい方法です。

それでも、やっぱり仕組みは大事

この方法は、上手くいかないことが多いです。
原因は、やはり「組織の仕組みの影響力の方が強い」ということです。

私は、他の会社でも、この方法を取ったことがあります。
現場の開発者たちも、協力的な人が大勢いました。

ただ、協力してくれていた開発者たちが、マネージャ候補になるに従い、
言動が既存のマネージャたちのそれに近づいて行ってしまったのです。

組織の仕組みが「マネジメントを根付かせない」形になっている以上、
この圧力は避けがたいです。

また、マネージャ候補生たちの見本となっているのは、
当然のことながら、既存のマネージャたちなのです。

組織の仕組みが、マネジメントのない開発現場を作り、
その「仕組み+現場+既存のマネージャたち」が次のマネージャを育てます。

このサイクルに対抗しなければいけないので、一筋縄ではいかないわけです。

今日のまとめ

今日、紹介した対策は、あくまで「悪あがき」だと思ってください。(特に対策2)

ところで、対策2が失敗した組織は、その後どうなったの?(*'-')

実は知りません。
失敗を確信したと同時に「もうこの組織にいる価値はない」と感じたので。

結局、今日の記事は

改善の努力をする意味はあるかもしれないが、
マネジメントのない開発現場に特効薬はない。

ということを言いたいのでした。

では、マネジメントを根付かせる仕組みがなく、
上層部が当てにならず、上下関係の膠着した文化の組織では、どうすればよいのか?

トム・デマルコさんの、この言葉で締めたいと思います。

病んだ政治を下から治療することはできない。
無駄な努力で時間を浪費したり、自分の立場を危険にさらす必要はない。

『デッドライン』(トム・デマルコ 著)より


デッドライン -ソフト開発を成功に導く101の法則
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プロフィール

HN:
なかば
性別:
男性
職業:
元ソフトウェアエンジニア
自己紹介:
東京のゲーム会社でゲームプログラマ。
家電メーカーで組み込みエンジニア。
その後、京都に移動して観光を楽しみながら
製品開発、業務改善、QA管理などを経験。
今は東京に戻って暮らしています。

詳細な自己紹介は、こちら

ブログ紹介

管理人(なかば)の個人ブログです。

もともと、以前の職場で投稿していた社内ブログの延長で書き始めました。
エンジニア仲間に向けた雑な口調はそのままにしていますが、その辺は気にせず読んでもらえると嬉しいです(*'-')

諸事情により更新を停止していますが、生きています。そのうち再開する予定です。

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